タイは微笑みの国といわれていますが、2018年の在タイ日本大使館の邦人救護数は1,457件と2位の在フィリピン日本大使館906件を大幅に引き離す在外公館ぶっちぎりの1位となっています。1,457件ということは、単純に1日あたり約4人(=1,457件/365日)が大使館のお世話になっている計算になります。なお、2013年以降6年連続1位です。比較的海外の中でも安全なイメージがありますが、日本人からするとタイは外国にあたります。当然、常識や習慣も日本と異なります。トラブルに巻き込まれないように十分注意することが最も基本的な安全対策といます。
この記事では、タイの危険な地域、犯罪、緊急時の連絡先について記載しています。事前に知っておくことで、未然に防げるトラブルもあります。参考になれば幸いです。
タイの危険な地域
外務省が特に注意すべき危険に関する情報及び勧告しているのは、下記の地域です。
出典:危険・スポット・広域情報 - 外務省 海外安全ホームページ
- レベル3 渡航中止勧告
- レベル2 不要不急の渡航中止
- レベル1 十分注意
タイ深南部はタイからの独立を目指す動きもある様で、昔から爆弾テロや軍や警察車両を狙った襲撃事件が多発しており、時折ニュースで耳にします。日本人はあまり行く機会がないがと思います。
犯罪に関して
犯罪統計
タイ警察が発表した2017年の犯罪統計によれば,殺人事件(未遂含む)が3,900件,傷害事件が10,390件,強姦事件が2,279件,強盗事件が140件,盗難事件等が28,270件発生しています。また,銃器不法所持事案では24,039人,薬物犯罪事案では271,535人が検挙されており,薬物や銃器の氾濫が殺人事件(未遂を含む)などの凶悪事件の多発の要因とも言われています。
タイにおいて日本人が巻き込まれる被害の多数は窃盗,詐欺等ですが,近年,日本人が殺人事件・強盗致傷事件などの凶悪事案に巻き込まれる事例も報告されています。タイにおける凶悪事件発生率は,日本と比べても非常に高い水準で推移していますので,十分注意してください。
参考までに日本の犯罪データと犯罪件数、10万人当たりの犯罪率を下記の通り比べてみました。
日本 | タイ | |
人口 | 1億2615万人 | 6,891万人 |
殺人事件(件数) | 950件 | 3,900件 |
殺人事件(10万人あたり) | 0.75% | 5.66% |
傷害事件(件数) | 21,188件 | 10,390件 |
傷害事件(10万人あたり) | 16.8% | 15.08% |
強姦事件(件数) | 1,405件 | 2,279件 |
強姦事件(10万人あたり) | 1.11% | 3.31% |
強盗事件(件数) | 1,511件 | 140件 |
強盗事件(10万人あたり) | 1.2% | 0.2% |
盗難事件(件数) | 532,565件 | 28,270件 |
盗難事件(10万人あたり) | 422.17% | 41.02% |
メモ
- 日本人人口は総務省統計局の2019年12月1日現在の人口推計の概算値を使用
- 日本の犯罪件数は2019年の刑法犯総数(認知件数)を使用
注意ポイント
データの集計方法が各国違うため一概にいえませんが、殺人事件(10万人あたり)を比較する限り、タイの方が日本に比べて殺人事件に巻き込まれる確率が7.55倍高いと言えます。十分注意してください。
日本人の被害例
日本人がタイで被害にあうのは首都バンコクが中心です。主な被害例は下記の通りです。
スリ、置き引き及び引ったくり
チャトチャックなどの市場やデパートなど、人が混雑する場所において、財布、パスポートや貴金属等を盗み取られるケースやあります置き引きがあります。
BTSアソーク駅周辺での抱き付きスリや、夜にトンロー・エカマイ周辺でのバイクによるひったくりには日本人の被害も多いです。私も夜オンヌット駅周辺でレディーボーイによる抱き付きスリにあったことがあります。幸いにも未遂で済みました。
日本人のよく行くデパートでも、エスカレーターでのスリや、2人話しかける役・2人実行する役などの4人組のスリ被害を聞きます。
ポイント
- 貴重品は常に身に着けておくこと
- 人通りのないソイに入らないこと
- 常に周囲を注意しておくこと が大切です。
注意ポイント
ひったくりあったら抵抗しないでください。ナイフ・銃を持っているケースがあります。
いかさま賭博
最近はあまり聞きませんが、トランプなどのゲームに誘われ、初めは勝ちますが結果的に負け続けて一文無しになるケースがあります。基本的に一文無しになるまでゲームから抜けることが出来ません。もめると暴行に発展するケースもあるので気をつけてください。特にBTS各駅やサイアム・スクエア周辺、各デパートや市場等で勧誘されることが多い様です。
注意ポイント
タイでも賭博は法律で禁止されています。絶対にやめましょう。
睡眠薬強盗
見ず知らずの異性から食事に誘われ、食事中に睡眠薬入りの飲み物を飲まされ、意識が薄れたところで金品を盗まれるケースがあります。
日本でもよく聞くニュースですが、トイレから戻ったら新しいドリンクを頼むなど、見ず知らずの人との食事は気を付けた方が良いと思います。
注意ポイント
盛られる薬物の量も適当で身体に被害を受ける事件もあるので特に注意が必要です。
旅行であれば見ず知らずの人との食事は避けた方が無難です。(タイで会った日本人含め)
ポイント
どうしても行きたいのであれば、自分から人を選んで声をかけた方が安全です。
宝石、洋服のキャッチセールス
トゥクトゥクの運転手等に「格安で市内観光をしてあげる」等と声を掛けられ、観光案内された際に「タイ政府主催の宝石フェアーで大幅値引きがある」や「日本の有名宝石店へ持って行けば2~3倍の値段で売れる」等と勧誘され、結果的に安物の宝石類や洋服類を高額で買わされるケースが多発しています。
ポイント
見ず知らずの人に2~3倍の値段で売れる簡単な商売を教える人はこの世の中にいないと思ってください。もっともらしい理由を言いますが当然嘘です。
注意ポイント
特に観光地周辺で、「今日は〇〇休みだよ」などと声をかける来る人はほぼ間違いなく詐欺と思った方が良いです。
私もタイに来た当初、王宮周辺で声をかけられました。この手口を知っていたので当然無視しました。王宮は通常営業でした。
道尋ねスリ
知らない人から道を尋ねられ隙をみて財布やパスポートなどの貴重品を盗まれるケースがあります。また、道を尋ねるなどし、少し会話したのちに、現金(日本円やタイバーツなど)を見せてほしいなどと声をかけ盗むケースや渡したのち逃げるケースなどもあります。私もサラデーン駅で声をかけられたことがあります。「金持ってない。」で済ませました。
ポイント
普通の人は外国人観光客に道を聞きません。いい人と思われる必要はありません。駅で何か聞かれたら駅員を指さしましょう。
悪徳タクシー・バイクタクシー
タクシーに関しては、メーターを使わないのであれば降りたほうが良いです。
流しのバイクタクシーに乗る場合には必ず事前に料金を確認してください。
空港のタクシーに関しては被害をよく聞きます。高速の途中で2,000バーツ要求、支払わない場合には高速の途中で降ろされる人もいます。
ポイント
私は空港からはリムジンタクシーを利用するようにしています。
痴漢被害
バイクタクシーやシーローの運転手によるセクハラはよく聞きます。
女性は夜バイクタクシーを乗らない方が無難です。シーローに関しては必ず後ろの座席に座るようにした方がいいです。
また、他にも痴漢被害でよく聞くのはエレベーターの中です。特にプロンポンの駅から公園に行く途中あるエレベーターで、赤ちゃん連れのお母さんが狙われるケースがあるようです。
ポイント
男性がいるときはできる限り他にも女性がいるときに乗るか、エンポリの中のエレベーターを利用する方が無難です。
日本人詐欺師
日本にも詐欺師がいるように、タイにも日本人の詐欺師がいます。
異国の地で日本人同士仲良くなることは多いですが、投資詐欺なども被害にあるケースもあります。
注意ポイント
日本にいるとき以上に、タイにいる日本人には注意してください。
偽警察
最近はあまり聞かなくなりましたが、ビーチなどで、水上バイクをレンタルし、壊したなどのいちゃもんをつけお金を請求する詐欺です。警察の制服を着た詐欺師が出てくるケースが以前は多かったと聞きました。
注意ポイント
タイでは警察の制服をだれでも買うことができます。
以上が、最低限事前に知っておいた方がいい日本人がタイで被害例です。事前に知っていることで未然に防げるトラブルもありますので、参考になれば幸いです。
参考リンク⇒ 7.治安 - タイ滞在豆知識 ー 在タイ日本大使館
緊急連絡先
参考までに緊急時の連絡先を下記に載せておきます。
在タイ日本国大使館 電話:0-2207-8500、0-2696-3000(代表) 0-2207-8502、0-2696-3002(領事部邦人援護班直通)
在チェンマイ日本国総領事館 電話:0-5201-2500 FAX:0-5201-2505 緊急電話:0-2204-4583
観光警察 1155
バンコク病院 0-2310-3000(代表) 0-2755-1257, 0-2310-3257(日本語専用)
バムルンラード病院 0-2667-1000(代表) 0-2011-3388(日本語専用)
サミティヴェート病院 0-2022-2222(代表) 0-2022-2122~2124(日本語専用)
まとめ
タイは日本人や日系の飲食店も多く、長くタイにいると外国にいるということをつい忘れてしまうことがあります。旅行者はもちろん、タイに住んでいる人も、日本にいるのと同じ感覚のままだったりすると、何らかのトラブルに巻き込まれる可能性はあります。
タイに限らない話ですが、外国においては、トラブルに巻き込まれないように十分注意することが最も基本的な安全対策です。また、万が一トラブルに巻き込まれた際にすぐに連絡が取れるよう連絡方法・連絡先を把握しておいた方がいいです。
参考リンク
Wifiなしで使える翻訳機⇒ ポケトーク (空港での受け取り可能)
無制限通信のwifi⇒ タイ専用ポケットwifiルーター【タイDATA】 (空港での受け取り可能)
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